トラムの線路で腰を抜かしてしまった二人の高齢者

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      『トラムの線路で腰を抜かしてしまった二人の高齢者』


表現の一つとしてなら私もよくお世話になっている「腰を抜かす」だが、実際に腰を抜かした人を見たのは初めてだ。

もう2週間ほど前のことになる。
トラムの停留所の線路で二人の高齢女性が、同時に腰を抜かしてひっくり返ってしまった。

私の推測では二人とも90代。それも百歳に近い方の90代ではないかと思う。
おそらく近くに老人ホームがあって、そこからこの停留所の斜め前にあるスーパーに散歩がてらやって来たのではないだろうか。

私は買い物を済ませてスーパー寄りの方の停留所で次のトラムを待っていた。
二人に気がついたのは、彼女たちが線路を横切って向こう側に渡ろうと路線道に第一歩を踏み出したときだった。

この停留所から終点(始発点でもある)までの区間には2つの停留所がある。一直線なので2つ向こうの停留所までよく見える。

二人の高齢者が路線道に入ったときには、次のトラムが一つ前の停留所を出たところだった。

普通なら線路を横切るのに数秒もかからない。だが二人の歩調は、まるでパントマイムの動きのように超スローモーションだ。

それでも彼女たちの足どりはしっかりしていたし、市内を走るトラムもそんなにスピードは出さない。いくらスローテンポで歩いても、トラムがここに到着する前には渡りきることができるだろう。私はそうみていたのである。

(後日、またここのスーパーへ買物に出たついでに撮影)

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だけどやっぱりトラムはトラムだ。人間の歩調とは違う。まだあっちの停留所を出たばかりだからと余裕でみていたら、あっという間に近づいてきた。

もちろんトラムの運転席からも彼女たちの様子はよく見えていたのだろう。超スローの徐行運転だ。だが止まってはいない。

さらにトラムが近づく。

それを見た二人は、引き返すことも進むこともできず、線路の上で完全に固まってしまった。一歩も動けない。

このとき、《早くどいてちょうだいよ、おばーちゃんたちぃ》と言わんばかりに、運転手が高らかに警笛を鳴らしたのだ。

ここのトラムの警笛は、リーンと鳴る玄関の呼び鈴が5つくらい同時に鳴るようなけたたましさだ。

その瞬間、二人とも腰を抜かして仰向けにヒックリ返ってしまった。


近くにいた男性二人が素早く彼女たちに駆け寄った。
一人は抱き上げてベンチまで運んで行った。

が、もう一人の男性の方は何故か手こずっている。

思わず男性のところに走り寄り、手をかそうとしたのだが、驚いた。
ビクトもしないのだ。重力に身を委ねているだけの彼女の体は恐ろしく重い。

トラムの運転手が駆け下りてきた。
私は彼にバトンタッチして、声援を送る側にまわった(声は出さずに心の中でではあったが)。

どうやらベンチまで運んであげたようだ。

その直後にこちら側のトラムが入って来た。私はそれに乗り込んだので、残念ながら後のことは分からない。

帰宅後、「腰抜け」の正体が知りたくてググッてみた。
その結果「腰が抜ける」とはこういうことだと分かった。

強い興奮、恐怖、極度の緊張で血管が収縮し、背中の筋肉(脊柱起立筋)をうまく働かせられなくなることが原因。ほとんどの場合、暫くすれば治る。


きっと彼女たちの背中にもまた元気の源が戻ってきて、しっかりした足どりで(多分⇒)老人ホームへ戻って行ったことだろう。






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2018-06-12 22:06 : 【暮らし/健康・その他】 :
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